年収1億円を超えても暮らしは変わってない S級S班・阿部拓真選手(宮城・107期)

2026.07.22

2026年、S級S班として戦う阿部拓真選手。2025年11月に『朝日新聞社杯競輪祭(GⅠ)』を制して、一躍“競輪界の時の人”となった阿部選手の素顔に迫ります。

 

小さい頃は病弱で入退院を繰り返し、スポーツも禁止されていたそうです。

そんな阿部選手が“自転車”に興味を持ったのは、近所の仙台商業高校で活躍していた4歳上の菅田壱道選手の新聞記事。

高校2年から自転車競技を始め、法政大学卒業後の2015年にデビューしました。

 

デビュー10年目にしてGⅠを初制覇。阿部選手が優勝した決勝レースの“3連単”の配当は、350,990円!504番人気(最低人気)でした。

さらには『KEIRINグランプリ2025』に出場し準優勝。

2025年の獲得賞金は1億円を超え、そのほとんどを11月末からの約1カ月で稼ぎました。

 

自らを“持ってる人間”ではないと話す阿部選手。転機を振り返るとともに、現在の思いを語ってくれました。

 

 

 

暮らしは変わってないです

去年1年間で稼いだ賞金が1億円以上になりました。すごくないですか!?

しかも、1年間の“残り1カ月”でそのほとんど(競輪祭の優勝とグランプリの2着)を稼いでしまったので、いわゆる“税金対策”もしていなくて、暮らしぶりは何も変わっていません(笑)。ただただ、税金額に驚いています…。

 

もともと物欲が無いんですよね。車もずっと同じ車に乗り続けていますし、時計も全く興味が無いんです。

いちばんの興味といえばウイスキーくらいで、特にスコッチが好きです。家にはウイスキーが150本くらいあります。

着ているトップスも大好きな『アードベッグ』のロゴをパロディで『アベタク』にしているんですよ(笑)。

 

 

ただ…いま、(菅田)壱道さんと(佐藤)慎太郎さんに「時計を買ったほうがいい」と勧められているんです。さらには、そこに深谷(知広)さんまで参戦してきて、もう逃げられないかもしれません…。

あとは時間の問題ですね(笑)。知識も全くないので、言われるがままに買ってしまいそうです(笑)。

 

 

人生めちゃくちゃ変わりました!

小さい頃は病弱で、重度の喘息(ぜんそく)持ちでした。小学生低学年の時は入退院を繰り返していて、スポーツを一切禁止されていた時期もあり、スポーツとはかけ離れた生活をしていたんです。

成長していくにつれて体力もついてきて、だんだん喘息の症状が軽くなり、中学からは問題なく過ごせるようになりました。

 

中学2年の時に、4歳上の(菅田)壱道さんが活躍されている新聞記事を何度も見かけて、近所にあった仙台商業高校の自転車競技部が強いことを知ったんです。

父親が「高校からでも遅くないスポーツだよ」と教えてくれたことがキッカケとなって、興味を持ちました。

仙台商業に進学したのですが、2年で自転車競技部に転部したんです。最初はサッカー部に入部しました(笑)。

自転車のセンスもなく弱かったですが、大学への憧れと、もうちょっと競技を続けたいという気持ちで法政大学へ進学しました。

 

大学3年の秋には就職活動を始めましたが、エントリーシートを書きながら「やりたいこと無いな」と思って。この時間を全て自転車の練習に費やしたら自分の道もしっかり定まるのではないかと思うようになりました。

“就活”を完全に辞めて、競輪選手を目指すようになって、競輪学校(現・日本競輪選手養成所)には2回目の受験で合格しました。

 

 

デビュー後は落車が多くて、“調子が良くなっては落ちて”を繰り返す10年間でした。自業自得なんですけどね。

ここ数年は特に「うまくいかない」と思うことが多くて。でもマイナスになりすぎずに、目の前のことをコツコツとやり続けてこられたことは良かったのかなと思います。

 

そんな状況を全て、『競輪祭の優勝』がひっくり返しちゃった感じですね。

S級1班の“競走得点”を確保することを目標にしていた『競輪祭』でした。

GⅠの準決勝も初めての経験だったので、勝ち上がった時点でビックリしすぎて…。決勝も「一戦一戦を一生懸命走ろう」という気持ちで臨んでいて、まさか優勝できるなんて!

自分も驚きましたが、それ以上に周りのみんなが驚いていましたね(笑)。

喜んでもらえたり、「感動した」と言ってもらえることが、すごくうれしかったです。

 

僕は基本的に“持ってる人間”じゃないので、巡ってきたチャンスすらつかむことは簡単じゃありません。

でも今回は、「運に、運に、運がつながった」と、本当にそう思います。

人生めちゃくちゃ変わりました!

 

『競輪祭』の祝勝会にて、107期の同期と

 

グランプリは最高の舞台でした。とにかく気持ち良かったです。

あんなに多くの観客と歓声。2万5,000人くらいのお客さんの前でも、全く緊張せずに心から楽しめました。

でも、もうちょっと緊張感があったら、「(優勝した郡司浩平選手を)“差せた”のかな〜」と思う時もあります(笑)。いや、あれは無理っすね!(笑)

“あの舞台”を経験したから、「またグランプリを目指したい」と思うようになりました。もちろん、またGⅠの決勝に乗りたいです。

 

 

S級S班になって、求められていることの大きさを感じています。

“北日本”の中でも重要な役割を任せてもらえるようになりました。

少なからずプレッシャーもありますが、期待に応えられるような走りをしたい、周りから信頼される選手になりたいという気持ちが強いです。

応援してくれる人がすごく増えたことも感じています。温かい声援に応えられるよう、頑張ります!

 

プライベートQ&A

Q:家族構成

A:子どもが1人います。3歳の男の子です。

 

Q:趣味

A:野球観戦。『楽天(東北楽天ゴールデンイーグルス)』の試合を、選手仲間とか地元の友達と見に行っています。

 

Q:特技

A:ボウリング!ベストスコアは287です!多分、選手の中で一番高いんじゃないかな。

287を出した時は10フレーム目の1投目まで全部ストライクで。周りの学生グループがそれに気付いて「アイツヤバくね?!」みたいになって、場内の全員が「パーフェクト、パーフェクト!」ってコールを言い出したんです(笑)。

注目を一気に浴びて、手汗はかくわ、ガタガタ震えるわで、2投目は指が抜けて7本…。場内に「あぁ〜…」ってため息が響き渡りました。

プレッシャーには弱いというエピソードです(笑)。

 

Q:好きな映画

A:『ハリー・ポッター』シリーズ。「もう一回、最初から見始めよっかな」っていう時期が定期的にくるんです。

深すぎて、見れば見るほど「これ、こういうことだったんだ!」っていう発見があります。

 

Q:欲しいモノ

A:治療器。電気治療器をめっちゃ使います。最近はちょっと落ち着きましたが、開催中ずっと電気にまみれていた時期もありました(笑)。

 

Q:尊敬する人

A:競輪界にたくさんいます。いまの立場(S級S班)になって、「この立場でずっと勝負している人はすごいな」って改めて思うようになりました。

ムラなくずっとトップで居られるのは、本当にすごいことです。

 

 

 

阿部拓真 Takuma Abe

 

1990年 11月3日生まれ、宮城県仙台市出身

身長173.1cm、登録地は宮城県、ホーム競技場は宮城県自転車競技場

 

2012年 全国都道府県対抗自転車競技大会 ケイリン優勝、全日本大学対抗自転車競技大会 ケイリン・チームスプリント2位

2013年 法政大学を卒業

2015年 107期で競輪選手としてデビュー

2017年 『レインボーカップA級ファイナル』でS級に特別昇級

2024年 200勝を達成

2025年 GⅠ『朝日新聞社杯競輪祭』で優勝

※A級選手のうち成績上位選手が出場する一発勝負のレース。1着から3着の選手がS級2班へ特別昇級できる。

 

■詳しいプロフィールと出走情報はコチラ

 

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